老舎

中国を代表する現代作家。1899年北京生まれ。満州族。
本名 舒慶春  字 舎予

1924年にイギリス留学。イギリス滞在時に”老張的哲学”などの長編小説を
書き始める。

帰国後、山東大学にて教鞭をとっているとき、日本でも有名な”駱駝祥子”
(ラクダのシアンズ)を発表。
抗日時代には、”四世同堂”を発表。
その他”茶館”など、数々の作品を発表し、〔人民芸術家〕
の名を得る。
1966年6月28日 文化大革命の際の紅衛兵の迫害により、
絶望した老舎は、太平湖にて入水自殺をしたとされる。
太平湖は、現在 地下鉄 積水灘 付近。
地下鉄建設のときに埋め立てられた模様。

”想北平”は、老舎が北京に対する愛情の想いを寄せているエッセイ。
北平とは、首都がまだ南京にあったころの北京の呼び名。
そのなかで老舎は、

《積水灘へ向かいあい、石の上に座って水面を眺めていると、おたまじゃくしの泳ぐのや、葦の葉にかえったばかりのとんぼのとまっているのがみえます。私は一日中、気持ちよく座っていることができます。心中まったく安らかで、求むることもなければ、恐れるものもありません。ちょうど子供がゆりかごの中で安眠しているようなものです。
北京には賑やかな場所もありますが、しかしそれは太極拳に良く似ていて
動中に静があるのです。
パリのたいていのところは、人を疲れさせます。そこで珈琲と酒による刺激が必要となります。北京では、温和な香片茶(ジャスミン茶のこと)があれば充分なのです。》

老舎の愛したその美しい風景と、ジャスミン茶があればそれだけで幸せという
暮らしは、私の憧れでもあり、
でも残念ながら現代の北京では、その風景ももう数少なくなり、
出会えることも難しくなってきてるといえよう。

            
                 参考文献 中薗英助著  ”北京飯店旧館にて”
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