題名を広告で見た瞬間

”なんて今の私の気持ちをストレートに表現してる言葉だろう!!”

と、即刻みにいきたくなってしまった「到現在還没想好」。日本語でいえば、「いまだ答がだせない」ってところでしょうか。すぐ予約したんだけれど後半は俳優の卵の公演に変わったとかで、チケット会社から”お金をだしてみるなんてもったいない”といわれ、それもそうだなと一時はあきらめたのですが、なんとなくあきらめきれなかったら、そのチケット会社から

”午後4時から元の俳優陣で再公演をすることになったそうです。それだったらどうですか?”

と連絡が来たので、ちょっと高かったのですがいってみることにしました。
普段は100元以下の席を買うのですが、今回は高いだけあってVIP席。ま、小劇場なので高いといってもべつに500元もするわけじゃないですし、VIP席といっても狭〜い劇場の最前列ってくらいですけれど。でも椅子にはVIP専用とかいてあって、入口でチケットをみせたらどうぞこちらへって感じでVIP席まで通してくれました。VIP席は番号がきまってないとのことで、どうせなので一番前の真ん中の最高席へ座ってみましたが、なんとなく背中に羨望の視線を感じましたわ。え、気のせい?笑

一番前だからか俳優さんがすごく近くて、彼らの表情がはっきりみえるせいか、彼らから発せられるエネルギーがそのままこちらに流れてくるような感じでした。全体的にコメディタッチの恋愛劇。でも笑いあり、涙あり、で久々ぐんぐん引き込まれる内容の話劇でしたね。なんというか俳優さんたちと一緒になって、彼らと同化してお芝居をみてるみたい。

なんでも、70年代生まれの恋愛に迷える世代の人達を主体としてつくられた作品だそうですが、70年代といっても監督さんや脚本家の人たちは75年生まれだそうで、30歳を迎えた人々が主な対象。
なので

”30歳になっても結婚できないなんて本当にこれからどうするの?!”

みたいな切実な思いをこめてあるみたいですが、たぶん、これ、日本だったら対象を40歳にしないと今の独身現代人の共感はえられないかも。日本で30歳で独身ってそんなにあせりの対象にはないような気がしますもん。人を愛し、愛されたいのに、裏切られたら怖いから失って傷つくのがこわいから正面きって本音で話しをせず、笑い話でごまかしたりする主人公のふたり。劇のなかでは、本来の自分と魂の自分が同時にあらわれ、本当の自分の気持ちと日々葛藤してる30歳の男女のリアルな日常を描き出していて、見ごたえがあります。

女性の霊魂役の人はすこぶる面白かった〜。きれいな女優さんなのに、ものすごく顔をゆがめたりとんでもない動作をしたりして、まさに女を捨てる演技という感じ。あれこそ才能といえるかも。コメディアンの素質あるんでしょうね。

それに、この話劇のパンフレットもなかなか洒落てます。男女の理想の相手の要求がそれぞれ書かれているのですが、男性は「ヒラリーのように教養があって、ダイアナのようにセレブ感があり、マリリンモンローのように大統領に迷惑を掛けないで・・」とかって項目が17項目。女性のほうは、「江口洋介のようにクールで、ディカプリオのようにハンサム。高倉健のように大人で、ブルースリーのようにボディガードになってくれて・・・」ってな感じで19項目ありました。女性版では理想の形に日本人男性がでてくるのに、男性版には日本人女性がでてこないのはなぜかしら??

「いつまでこうしてるんだろう。いつまでこんなことしてるんだろう。これからどうしよう。今後どうなっていくんだろう。」恋愛だけでなく、人生とかに対してもいつも頭の中にあるそういう問いに、浮かぶ答はきまって
“到現在還没想好”。

“想好”する日は後どれくらいしたらくるのだろうか。“想好”するべきは自分であって、“想好”する日が向こうからやってくるわけじゃないのに、なぜかいつかくるものとその日の訪れを待ち望んでしまう・・・。
自分だけが“到現在還没想好”というなさけない答しかもちあわせてないのかと思いがちですが、この劇をみると、なにも自分一人がこういうことを考えてるわけじゃなく、みんな同じように答が見つからずに悩んでいるんだなと思えてきます。
趣味の道楽へ