”あなたが私を抱きしめるのを感じられる方法を探す

もう一度だけあなたの鼓動を感じたい 手を伸ばしてあの瞬間に触れようとする
あなたが私のものだった大切な時間 こんな風に人を愛していれば
準備なんてできないわ 毎日少しづつ手放すなんて

私達が空に描いた星 無駄にしなかった夢 抱いた悲しみ 世界はあなたと私のものだった
私達が渡った海 失った純粋さ 終わった時の苦しみ
もう一度くりかえしてもいいわ
美しかったから 美しかった

あなたが今でも傍にいるみたいに あなたをこいしく思う日々 あなたが戻ってこないことにハッと気づく暗い時間に考えたこともある 私達の時間に価値があっただろうか
どうしても考えが散らばってしまうけど 確信できることがひとつだけあるわ
あなたと出逢えた日に感謝する

二人が気にしなかったルール 乗り越えた恐怖 乗っている時のスリルを感じた 心の中で燃える炎
私達が渡った海 失った純粋さ 終わった時の苦痛
もう一度くりかえしてもいいわ
美しかったから 美しかった 美しかった 美しかった”
これは、映画オータム・イン・ニューヨークのエンディングにかかる曲”Beautiful”の日本語歌詞です。
中国の女優ジョアン・チェンが監督したこの映画はニューヨークを舞台にしたラブストーリー。
風景の描写や映像は画面からそのまばゆさが手に取るように感じられるほど美しかったけれど、映画のお話自体としては最初から結末の予想できるいわゆるラブストーリーで、映画としてはそれほど感動したというわけではありませんでした。

シャーロット(ウィノナライダー)と恋に落ちた、プレイボーイで人の心を大切にしない男ウィル。(リチャードギア)軽い気持ちで付き合い始めていく二人ですが、シャーロットが不治の病に冒されてる事実を
彼が知ることから二人の愛はもっと深いところで結びついていく事に。シャーロットという女性の出現と
彼女を愛したことから、人としての思いやりの心をもつように変わっていくウィルの姿で最後は終わるのですが、 ま〜こういう結末だろうなあ という感想で私の中でこの映画は終わるはずでした。

エンディングの音楽がこの”Beautiful”じゃなかったら、きっとそれでおわっていたはず。
でも、エンディングが流れた時に、なにかこうちょっと聞いただけで忘れられない曲になりそうなそんな予感がしたのです。出演者のテロップが流れていく画面で、右端にこの曲の歌詞の日本語字幕が流れました。この音楽をききながら、その歌詞を目で追っていると、さっき、”ま〜こういう終わりか”で終わった映画が、別の意味でいろんなことを考えさせてるような気がしてきたのです。

当時の若手実力派歌手ジェニファーペイジの歌ってるこの”Beautiful”。一度聞いたら耳から離れずどうしてももう一度聞きたくてサントラを買いました。私の過去の出会いも、素敵な出会いであったり、つらい出会いであったりしたわけだけれどそれらを想い出した気持ちと、この歌詞のような

”もう一度くりかえしてもいいわ 美しかったから”

という気持ちは、うまく表現できないけれど別の場所に位置するもののような、そんな気が私の中ではします。いろんな想いをして苦しんで、結果たどりついた答えなのに、結末を知ってながら再びそれとおなじ苦しみを味わってでもくりかえしたい美しさというのは、相手が亡くなっているから思える気持ちなのでしょうか。それとも・・・・?

映画というものは、その映画自身との素晴らしい出会いもあれば、こういう音楽との出会いもあって
楽しみ方、味わい方というのがたくさんあります。
この曲との出会いからジェニファーペイジが好きになったのはいうまでもありませんが、映画は最後までみてみないと、どこに出会いが転がっているかわかりませんね。
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