時空を超えた恋愛物というこの映画の解説を見たときは、え〜今どき?みたいな気持ちがあってあまり惹かれなかったのだけれど、ちらっとみた映画の紹介の映像の景色がなんとも澄んだ色合いで素敵だったのでそれにつられてみた映画でした。

海外にいったまま連絡の来ない彼氏から引っ越した先にもちゃんと手紙が届くようにと、ウンジュはイルマーレと名づけられた今まで住んでた海辺の家のポストへ、新しく住人としてくる人宛に自分の新しい引越し先をかいた手紙をいれることから物語は始まります。が、なぜかその手紙は彼女よりも2年前の時代、そのイルマーレに住んでるソンヒョンのもとへ届けられてしまいます。

ソンヒョンという知らない男性から届いたその返事の日付にいぶかしく思いながらも、ウンジュは時を越えた文通を続け、イルマ−レの前にあるポストが彼女の時代と彼の時代をつないでいる時空の交差したところと気づきます。
確かに、時空をこえてそういうことって可能なの?とか、ん?そんなことありえるかな?と思わず矛盾を考えてしまいがちですが、この映画は科学の可能性を解き明かす映画ではなくあくまで恋愛映画。そういうことはこの際あまり深く追求しないほうが楽しめます♪

とにかく、映像が美しい!映画の季節と同じ時期に見たから余計強く思うのかもしれませんが、冬の冷たさ、空気がピンとし張り詰めるような感覚、澄み切った感じが画面からそのままリアルに伝わってくる感じで、夕焼けの景色などは自然と涙が出てきてしまうほどです。

彼氏が自分から離れていったことを知るウンジュはその悲しい気持ちをソンヒョンへの手紙に綴ります。
メールのあたりまえとなった時代に手紙を書いてる二人の姿はとても新鮮にうつりますね。
辛いときはどうしたらいいか、自分だったらどうするか、相手の教えるその世界をお互いが試してみたりする場面がなんともほほえましいし、恋してるときの気持ちっていうのが素直に伝わってきます。
2人の心の交流というのがとても細かく描かれていて、時空をこえた文通なんてちょっとありえないんだけれども、でも相手を想ってお互いの心がとけあっていくさまが感じられて、見てる方もドキドキしてきます。
心がすごく優しくなれる。恋してるときってこんな感じだよねって気づけるというか・・・。

スパゲティの硬さを確かめるのに、壁にぶつけるといいよ、とか、缶ビールを飲んでから、ジェットコースターに乗ってみてとか、バスに乗って、並木道でおりて散歩してごらんとか時空を超えてるわけだから、同じ時間を共にすることはできないし並んで過ごすことはできないけれど、でも独りでもお互いを感じていられる、その存在を感じていられる素敵な時間のすごし方なのかもしれません。せつないけどね・・。

ソンヒョンと確執のあった彼の父親が病気で亡くなったとき、その彼に慰めの言葉をウンジュが伝えるのだけれど、この映画の中で私が一番心に残ったのはそのウンジュの言葉。

”人には三つ隠せないものがある。それは咳きと貧しさと愛情。それらは隠そうとすればするほど表にでてくる”

愛の方法も人それぞれ、愛情の感じ方も人それぞれと、ソンヒョンの父親のソンヒョンに対するひねくれていても深い深い愛情をウンジュは彼に気付かせようとします。なるほどなあ、と深く心にしみこんだ言葉でした。

ウンジュ役のチョンジヒョンがとっても清楚でかわいらしい。おとなしそうで、ちょっと幼い顔立ちだけれど時々どきっとするほど大人っぽい表情をもってる素敵な女優さん。
最初から話がよめるとか、時空の矛盾が気になって、といういろいろな感想があるみたいですが、私はとっても好きです、この映画。
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